2025/06 コラム

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2025/06 コラム

 沖縄は本格的な夏がやってきました。

 私達職人は晴れの日が続く今の時期にしか出来ない作業を計画的に進めています。例えば染色や糊付け。糸量が増えると染料の準備にも染色にも洗いにも時間がかかります。お日様の力を借りて糸の乾く時間が短くなれば、染色作業が効率よく捗ります。

 天然染料で染める場合、染液の準備(煮出し)→冷ます・染色→洗い・媒染→洗い・戻し→洗い・乾燥が一連の作業工程です。染め重ねが必要な場合は更に二回、三回と工程を繰り返します。

 普段は個人で使う分を個人で作業して染色しますが、大きなプロジェクトの場合、複数人で作業をします。昨年度のあるプロジェクトをチームで行う機会がありました。

 一人で行うと大変な作業もチームの皆ですると心強いです。使用する素材の検討から使用量の割り出し、染料、助剤、道具の見積りと手配をし、手分けして染色から試織、製織までを一年かけて行いました。

 植物染料で染色する製作計画をしたのですが、試染試織の段階で二転三転しその度に試染を行い検討して、耐久性を加味し長く使えるよう色落ち変色の少ない化学染料を使用することになりました。色味や染色方法が決定し最終の染色作業が終わった時の達成感と安堵感は関わったチームのメンバー全員で分かち合うことが出来、良い経験となりました。

 今回で私の担当は最後です。半年間拙い文章を読んでくださりありがとうございました。私の担当をもちまして職人コラムは一旦終了になります。

山里千佳子

2025年06月30日