首里染織館suikaraの植栽には、沖縄の工芸品にまつわる草木が植えられています。今回はsuikaraで見ることができる「染料になる植物」をいくつかご紹介します。
【フクギ(福木)】
・オトギリソウ科フクギ属
・鮮やかな黄色や橙色に染まります。
・木部や葉にも色素は含まれますが、色素が多く含有する樹皮が主に使われています。樹皮を剥ぎしっかり乾燥させると長期保存ができるので、使い勝手が良いです。
・沖縄では防風林や防火林として好まれ、屋敷や道沿いに植えられます。高さは15mほど成長します。
【カンヒザクラ】
・バラ科サクラ属
・ピンク、ベージュ、ブラウンなどに染まります。
・染色には枝が主に使われており、花が咲く前の状態が綺麗に染まると聞いたことがあります。
・沖縄では多く見られる桜で、本土で一般的なソメイヨシノのようなヒラヒラとした散り方はせず、花のまま落ちます。花びらは濃いピンクで、沖縄では1月下旬頃が見頃です。
【ゲットウ(月桃)】
・ショウガ科ハナミョウガ属
・ピンクがかったベージュ、ブラウンに染まります。
・染色には葉や茎、根っこなどが使われます。
・沖縄方言ではサンニンと呼ばれ、お菓子や料理の香り付けで使われています。抗菌作用もあり、沖縄ではとても馴染み深い植物です。
【クチナシ(梔子)】
・アカネ科目クチナシ属
・鮮やかな黄色や黄緑に染まります。
・実や枝葉などを使います。
・白い花をつけるクチナシ。沖縄方言ではクチナやカジマヤーギなど呼ばれていますが、カジマヤーとは風車のことです。白い花が風車に似ているので、そう呼ばれています。ちなみに沖縄では長寿のお祝いの行事「カジマヤー」があり、数えで97歳を迎えると再び子どもの心に戻ると言われています。それにちなんで玩具の風車を持ってお祝いをするのです。
そのほかにもイスノキやホルトノキなど、suikaraには様々な植物が植えられています。芭蕉やクバなど材料になる植物もあります。
首里染織館suikaraでは、11月23日から11月26日まで第47回首里織展を開催します。会場にいらっしゃった際は、ぜひ植栽もご覧になっていただきたいなと思います。
(文・佐久原 祥)
参考資料
・箕輪直子『染料植物から染色技法まですべてがわかる草木染め大全』誠文堂新光社.2010
・織の海道実行委員会.『織の海道-沖縄本島・久米島編』.2004年
・海洋博公園.「おきなわ郷土村 おもろ植物園」https://oki-park.jp/sp/kaiyohaku/inst/87/126(2023.10.31)
・沖縄県庁.「有用樹木要覧」https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/shinrinken/kikaku/yuyou-detail/kuchinashi.html(2023.10.31)