寒い日が続きました。皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。
今回は私を含め、首里織のこと那覇伝統織物事業協同組合の組合に所属している組合員についてお話をします。
組合員の大多数が後継者育成制度の技術講習を終了した卒業生です。因みに私は第35期生です。35年以上前から首里織に携わっている先輩ももちろんいらっしゃるのですが、その先輩方の尽力により、首里織を後世に残さなくてはいけないという責任と義務と危機感から後継者育成制度を設け技術継承に力を入れてきました。
毎年、7月から翌年の3月初旬の約9ヶ月間、平日の月曜から金曜、9:30から17:00でみっちり首里織の技術を学ぶ講習があります。無償で技術を教わることが出来るのですが、もちろん条件があり…首里織をずっと続けていく、首里織を後世に受け継いで繋げていくことを約束してくれる人が面接を通過し講習を受けることが出来ます。
首里織は技法が沢山あるため初年度で初級、次年度の9ヶ月で中級と約二年で大まかな技術を学ぶことができます。それでもまだまだ足りなくて、講習を卒業して組合員になってからも技法の勉強会を重ねていくのですが。
初級を終えただけでも首里織の仕事に従事することが出来ます。組合員の技量や経験年数に応じて出来る仕事があります。経験を重ねてどんどん仕事内容もステップアップしていくというシステムも先輩方が考え出した方法です。中級以降の技法取得は後の組合員向けの講習や勉強会で学ぶことが出来るのです。
後継者講習を受けた後、那覇市の国際通りにあるてんぶす館にある首里織体験工房で材料を組合支給で組合定番商品を織るいわゆる織賃のお仕事をしながら機織り体験で訪れるお客様の対応をします。習った技術を反芻するとともに、首里織の成り立ちをお客様にお伝えすることで後継者の立場や役割を改めて痛感・実感する場所です。
その後いよいよ独立して本格的に個人事業主になります。
材料支給の織賃の仕事から、材料も道具なども自費で自分の計画とデザインに基づいて商品を作る仕事へと移行していきます。ここからそれぞれの個性が出てくるのではないかと私は思うのです。
色々物入りで順風満帆なスタートとはなかなか言えませんが、日々精進で織りが好きな仲間とああだこうだと言いながら仕事が出来るということはとても幸せです。
山里千佳子