イユグムイン カイ ムルティアシビ
Water drops in your faces
若水を 額にいただきながら
はいさい、ぐすーよーちゅううがなびら。
月一コラムを半年ほど担当させて頂きます、首里織の職人です。
ゆたさるぐとぅ、うにげーさびら。
「首里城は知ってるけど、首里織は知らない」「地元だけど現物も見たことがない」という地元、沖縄の方や学生などに対しての語りかけ、という意図で平易な文章を心がけています。
他地域の皆様は写真と合わせてイメージを膨らませて頂けたら、幸いです。
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首里は清水処です。
沖縄では樋川ヒージャー、井戸カーと呼ばれ、地域の集落にあり、今は使われていない個人宅の井戸も、その跡地も大事に扱われてます。そして首里城の麓には大きな龍潭があります。
首里からは海からは遠い丘の上にある事もあり、首里の方々は近くの水処での涼を楽しんでいました。樋川では若水を産まれたての赤子の額に一雫垂らす。そして産湯に使う風習が首里には残っていました。
龍潭では昭和50年頃はこども達の釣り堀遊び、戦後すぐ後はプールとして男女問わず泳いだり。そして遡る事、琉球王国時代には船を浮かべて遊覧し楽しむ風景が描かれています。
魚小堀イユグムイ(首里ことば)と首里の人々は現在でも親しみを持って呼んでいます。
首里染織館suikara が建つこの地は元々、王国時代に首里城建設の際に掘った跡地を池として、蓮小堀リングムイ(首里ことば)と呼ばれいました。今は言葉だけは残り、今後はこの地に蓮の様に美しい布が、行き交う人を楽しませていく事でしょう。
琉球石灰岩を通じた沖縄の硬水。同じ桜の木を染めても、沖縄と本土では全く違った色合いになります。
水処は酒処でもあります。京都の丹後ちりめん、中国の蘇州の刺繍、フランスリヨンの絹織物、イギリス、スコットランドキルト。そして首里の染織物。それぞれ有名な酒処でもあります。
写真は首里城から泡盛酒造所に行く道の水処です。染織布も、名酒も、その土地の滋味が溢れています。
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あーととぅ、うーととぅ、ぐぶりぃさびら
<文章責任・東恩納朋子>